古時計たちとの“の~んびり暮らし”を提案します!
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ホームハートH八角時計レストア生中継!
■実際に真っ黒だった古時計をレストアしていく様子をご紹介します。
■2011年6月から8月にかけて、ブログで11回連載したものです。
■扱った時計はハートHの八角型です。


【NO.1】

以前あるところで仕入れて、そのまま寝かせてあった古時計を出してきました。状態はご覧のように真っ黒!というか真っ白!というべきか。これは掛けられた状態ではなくて、おそらく蔵とか物置にかなり長期間(数十年)放置されていたと思われます。これを今回レストアします。


文字盤は残念ながら失われています。機械はこれまた真っ黒・・・。でもハートH精工所の刻印のある機械です。でも、かなり古い!4本足の下2本が、普通はネジ2本止めですが、この時計みたいにネジ1本止めのものは明治時代に多いものです。それと左右の1番車(ゼンマイを巻いた軸に付いているもの)の幅が細い。ここは大きな力が加わるので、幅広の車が使われるところです。案の定、歪みが出ていました。それから左3番車。時打ちを制御し、ハンマーを駆動させる車です。ここに2本のピンが立っているのですが、それがこの機械ではピンではなくて、地の真鍮板を切り抜いて立てています。こんなのは始めて見ました。折れないのかな~とちょっと心配になります。


歯車なども恐ろしいくらい真っ黒!!これはただの汚れではなくて、囲炉裏のススではないかと思います。洗浄する前に、布で拭きます。ある程度の汚れは拭き取れます。


洗浄液にしばらく浸けておき、その中でブラシで洗います。ゼンマイ部分もばらして洗浄します。ゼンマイを外すのが面倒だといって、洗わないという話も聞いたことありますが、これは絶対に洗うべきです。こびり付いた汚れで固着して伸びないということもあります。ゼンマイを巻き戻すのも慣れれば簡単です。
最後の写真は、全部洗い終わって、その後一つひとつをワイヤブラシで磨いた後です。この後、今度はホゾやホゾ穴を研磨剤で磨く作業に入ります。


【NO.2】

機械のほうはちょっと置いておいて、ケースのほうを始めましょう。まず上下のガラスをはずします。ご覧のような真っ黒!


洗剤と水で洗います。半分だけ洗ったところです。分かりますか?枠に近い部分の汚れが強くて、簡単には落ちません。何度も透かして見ながら、汚れの残りを取っていきます。同じ様に振り子室のガラスも洗います。

2枚とも洗い終わったところです。きれいになりました。下のガラスには金彩の模様が、ほぼきれいに残っていました。丸いほうには、古いガラス特有のユラユラはあまりありませんが、細長い気泡が何ヶ所か入った古いものでした。


次にケースを洗います。アクリルたわしに洗剤をつけて洗うのですが、なるべく迅速に、水量を控えめに心がけます。水によるケースへのダメージを避けるためです。大量の水がしみ込むと、板が反ったり、接着剤がはがれたりする場合があります。


真っ黒の汚れを落としていくと、驚いたことに金色が見えてきました。それどころではありません。市松模様が現れました。どうやらケース周辺の金彩が、まだ残っているようです。


水分をよくふき取り、乾いた後で、汚れ落としクリームを使いながら、表面の黒い汚れを取っていきます。出てきました!きれいな市松です。もちろん完全ではありませんが、これだけ残っているのは珍しいことです。たいがいは落ちてしまって、隅っこに残っている程度が多いのです。このあとは、この金彩を落とさないように、汚れだけを丁寧に取っていきます。時間のかかる作業です。でも完成を想像すると楽しみになってきました。


【NO.3】
さてさて機械のほうですが、分解して汚れを拭いて、洗浄液に浸けて洗い、さらに真鍮のワイヤブラシで磨くところまでお話しました。
その後は、地板(歯車群を挟み込んでいる2枚の真鍮板です)のホゾ穴の調整です。何十年も動かしていきますと、穴が広がっていくことがあります。真円であったものが楕円になってきます。そのままでは回転が悪くなるので、それをタガネで打って元に戻します。
今日はその後のことですが、今度は部品を一つずつ磨きます。部品の全体を磨くことまではできませんので、回転部分だけです。つまり、地板のホゾ穴と、そこに入る歯車の軸の先端(ホゾ)です。


1枚目の写真。地板の穴はこんな感じで汚れています。昨日までの作業では取れなかった汚れです。それを、先を尖らせた木の棒(ボクは竹を使っていますが。木より硬いのでちょうど良いと思います)に研磨剤を付け、穴を擦りながら磨きます。


2枚目写真。こんな感じでピカピカになります。穴は地板2枚にたくさんあります。大きさもそれぞれです(この写真の穴で約2mmです)。それを全部磨きます。


3枚目写真。今度は歯車のシャフトの先端、つまり先ほどの穴に入って回転する部分です。ここは外に面しているので汚れは落ちています。でもご覧のように、錆が出ています。これを先ほどのように、研磨剤をつけながら磨いていきます。


4枚目。こんな感じでピカピカにします。歯車全部と、各種の腕の軸など、すべての穴で回転する部分を磨きます。これが相当たいへんな作業です。
ボクは遠近両用のメガネをかけていますが、この作業の時はメガネをはずして顔を近づけます。そうすると、姿勢がどうしても前かがみになって、長時間やってると腰が痛くなります。目も疲れ頭がボーっとしてきます。
こうやって磨いておけば、組んだ時に抵抗無しに回転しますし、さらにオイルをさすことで完璧の回転が得られるというわけです。


【NO.4】


さてさて、機械のほうの続きです。
洗浄済みのゼンマイを布で拭きます。ほぼきれいな状態です。そのあと、全面にオイルを塗っておきます。もちろん組んだあとでもしっかりオイルは入れます。


ホゾとホゾ穴を磨き上げた部品を、ゼンマイ無しの状態で組んでみます。その状態で、歯車群の動きをチェックします。指で回してやると、スムーズに動かなくてはなりません。今回は、右1番と2番との間で干渉がありました。ゼンマイのストッパーのバネが浮いていて2番車に干渉していました。2番車が異様に歪んでいたのは、前の修理人がこれを避けるためにしたのでしょう。でも、これは間違いで、バネのほうを浮かないように工夫し、2番車は本来の姿に直しました。これで3番車との噛み合いがうまくいくはずです。


3枚目写真は、ゼンマイを入れて組み上げたものです。裏からの撮影です。アンクルの傾きを調整します。少しだけゼンマイを巻いてみて、動きを見ます。右も左も順調です。カタカタカタカタと動き出します。「早く動きたい~~」って感じです^^;


4枚目は調整台に載せて、試運転です。いい調子で動き始めました。


【NO.5】


さて、今回はケースの汚れ落としの巻きです。②で金の市松模様が出てきたところまでやりましたね。あの続きです。振り子室周辺から始めて、八角の頭へ行きました。しかし残念なことに、あの金色の市松模様は、②で最初に出てきた部分が一番よかったようです。あとは残ってはいるのですが、薄っすら~という感じです。
写真1枚目。八角部分をやってます。どこを拭いても、ごらんのように布が真っ黒になります。左半分がビフォア、右半分がアフターです。


写真2枚目。側面の汚れ落としです。こっちも真っ黒。汚れを落としていきますと、下から木目が出てきました。ケヤキでしょうか栓でしょうか。底部も同様に落とします。ケースに大きな傷みは無いようです。一番目立つのは、振り子室周辺の黒縁の角が3ヶ所欠けていることでしょうか。これはあとで何とかしなければなりません。


3枚目。細かな隙間や、くぼんだ角などは、竹の割り箸を細く削ったものを使って、布で拭いていきます。細く削るには、昔ながらの手回しのエンピツ削りが最適です。昔息子が使っていたものを重宝しています。
こうやって隅々まで、徹底的に汚れを落としていきます。ケースの内部は、掃除機をかけて、軽く拭いておきます。


【NO.6】


これでケース本体の汚れ落としが全部終わりました。普通の場合ですと、ここまで来るのにそれほど大変でもないのですが、今回は汚れが半端じゃありませんでしたので、3倍も4倍も時間がかかったように思います。この時点では、まだ塗装落ちなどのキズが目立ちます。いずれ何とかせねば、です。渦リンに詰めてある布は、動かすたびに鳴らないためです。


振り子室扉の枠を、同じように汚れ落とししました。裏側の写真はありませんが、枠の角々をやといざねを使って組んであり、しっかりと作ってあります。


扉のツマミは「ハート」型です。こちらもあまりにも真っ黒に汚れがこびり付いていましたので、削り落とすようにして少し磨きました。


裏側の止め金具です。さっきのハートのツマミの先端が2本の足になっていて、それを左右に曲げて止め具を止めてありました。が、その片方が折れていました。それで別の真鍮板を挟み込んで、ハンダで固定しました。

しかし、こんな調子で連載していて、いつになったら終わるんだろう??
読んでくださっている皆さん、面白いですか?
まあ、いいか。こんな記録がどこかにあったって、害にはなるまい。
機械のほうは快調に動いているけど、まだ文字盤が「無い」状態なので、何とかせねばならない。
文字盤枠の磨きと、振り子の磨き。ケースの補修と磨き。針の磨き。・・・・まだまだいろいろ。


【NO.7】


さてさて、作業は文字盤枠の磨きに入りました。
この枠はガラスが入って、文字盤のカバー(風防)になるものです。真鍮で出来ていますので、磨けばピカピカになります。写真の左側が磨き始めた部分で、右側が真っ黒の状態です。今回、真っ黒の反動で?ついつい磨きすぎてピカピカになってしまいました。磨くのが好きなんだと、自分でも思います。黒かったものが光ってくるのが嬉しいんでしょうね(^^)


次に振り子です。この時計の振り子は、鉄の竿に真鍮の玉と真鍮の飾りが付いたものです。八角や頭丸によくあるタイプです。もちろんこちらも真っ黒でした。全部はずして一つずつ磨いていきます。


文字盤枠もピカピカなので、こっちもついでにピカピカしちゃいました。葉っぱの飾りは細かな立体なので落ちないかと思いましたが、案外きれいになりました。今はピカピカでも、2年もすれば落ち着いてきます。
次回は文字盤です。どうぞお楽しみに・・・。


【NO.8】


この時計は文字盤が無い状態でした。
ハートH精工所の文字盤は、そのトレードマークがとても素敵で特徴的です。星で縁取られたハートです。明治の終わりから大正にかけての時代ですから、このマークは飛びぬけてオシャレなデザインだったと思います。
ストック品の中にそれがあれば一番いいのですが、あいにく持ち合わせがありません。それで写真のものを使うことにしました。紙製の張り替え用文字盤が貼ってあるようです。昔も文字盤の張替えは普通に行われていたようです。


まずハンダを溶かして枠から外します。枠はもちろん磨いておきます。文字盤はしばらく水に浸けておいて、その後貼ってある紙を剥がしました。きれいに全部はがすと、下から写真のように、もともとのものが出てきました。マークや文字がありませんので、メーカーは分かりません。こちらはローマ数字です。


新たに貼り付けるのは、うずりん堂のオリジナル文字盤です。もうすでに何台かに使ったことがあります。本物の古時計の文字盤をスキャンして、ロゴとマークを入れて作りました。この渦巻きのマーク、元ネタは何だと思いますか?・・・蚊取り線香です(^^;)。中央部分を消して使いました。
サイズを指定してプリントし、それをスプレーのりで丁寧に貼り付けます。3穴部分を空けて、鍵穴2つにはハトメを入れます。それを磨いておいた真鍮枠に、再びハンダで取り付けます。
次回はケースの補修と磨きです。ゴールが見えてきましたよ~♪


【NO.9】


ケースには小さなキズがいくつかありましたが、特に目立つのが、振り子室周辺の黒枠の3ヶ所です。ネズミがかじったような削れキズです。写真はそのうちの一番大きなものです。


そこへ、木部用のパテを付けて形を元のように整えようと思います。パテを付けた状態で24時間置きます。完全に乾いたら、パテを削って本来の形にします。


そのあとで、アクリル絵具で、周辺の色合いとなじむように色を乗せていきます。他の部分も同じように補修します。あくまでも見た目自然になるように補色しますので、ちょっと見には分からないだろうと思います。


最後に、蜜蝋ワックスを薄く塗って磨きます。このワックスは、家具とか床板などを磨くのに使うものです。国産未晒し無漂白蜜蝋と、国産無農薬純正一番絞りエゴマ油で作られたもので、口に入れても安全な超天然ものです。写真の奥にある缶に入った黄色いものです。
これで一応ケースの磨きも終わりました。あと残っているのは、針と渦リンの磨き。その後は組み立てて調整に入ります。


【NO.10】


いよいよ大詰めです。
渦リンを磨きました。古時計のレストアをやる場合、渦リンまでは普通磨かないかもしれません。ボクの場合は、ピカピカに磨く場合と、汚れを落として黒のままおいておく場合と両方です。振り子室の窓から見える場合は磨くことが多いです。完全に磨くと、鋼の地まで出しますので、シルバーに光ります。時計の雰囲気で色合いが黒のほうがよい時は黒を残します。今回のように八角や頭丸は、頭の枠の裏に隠れて見えない場合が多いです。その場合は、黒いままにしておくのが普通です。でも、今回はあちこち磨いてきてしまった勢いで、渦リンも磨いてしまいました(^^;)。


次は針です。ハートの形を取り入れた指針で、いい感じです。針は黒い塗装を残して汚れだけ落とします。
これで、すべてのパーツの汚れ落としと磨きが終わりました。最後にガラスをそれぞれの枠に納め、枠を本体に取り付けます。


出来上がったケースに機械をマウントします。それを壁に掛けて、いよいよ最後の調整です。調整と言っても、これまでに調整台の上でほとんど終わっていますので、ここでやることは、
①ケースを垂直にして、振り子が均等に動くように調整する。
②時打ちが、長針がちょうど12を指した時に駆動するよう調整する。(これはすでに終わっているので確認です)
③時打ち(ボンボン音)が良い音に鳴るように、渦リンとハンマーの関係を調整する。
④時刻の進み遅れを調整する。
それくらいです。後は文字盤を取り付ければ完成ですが、もうしばらくこの状態で様子を見ます。

壁に掛けてみると、振り子室ガラスの金彩がとてもよい状態なので、その奥で揺れる振り子の光る玉と、文字盤枠の真鍮の光、それに黒淵にわずかに残った金の市松模様が、なかなか良い感じでバランスを取っているように見えます。本人の贔屓目ですかね・・・(^^)


【NO.11最終回】

お待たせいたしました。
長々と続けてまいりました、ハートH精工所の八角のレストア。今回が最終回です。
前回、ケースに機械をマウントした後、最終調整を続けておりました。まったく問題なく1週間を動き続けました。文字盤を取り付けてめでたく完成です。


文字盤はうずりん堂のオリジナルを貼りました。
今回ちょっと予期せぬこともありました。作業台の上に置いてあったのですが、その間に水か何かだろうと思いますが、文字盤に落ちたようです。ちょうど5時のところにシミが付いてしまいました。うずりん堂のプリント文字盤にはないものです。このシミだけは本物?というわけです(^^;)
シミがついても何もあわてないですむのが、アンティークの面白いところ。逆に何だかいい感じ、って思えてしまうのがおかしいですね。


振り子室の扉です。ガラスの金彩がとても良く残っているので、振り子と止め具の真鍮色、そして市松模様の色、いろいろうまく調和しているように思います。

今回、あまりにも汚れのすごい時計でしたので、最初から記録してブログで公開したら面白いかも、と思いました。①回目に載せた写真と完成した写真を見比べてみてください。「やれば出来るんだ!」みたいな感動がありませんか!?
これだからやめられないんです。汚れや傷みが激しいほど、なんだかワクワクしてしまうんです(^^)。
機械だって、真っ黒で、劣化したオイルとホコリでゴテゴテに固まってしまっているのを見ると、愛おしくて「よし、よし、今キレイにしてやるからね・・・」って感じです。磨いて組みなおした機械が「コトコト」と動き出す瞬間が好きです。「おまえ、何十年ぶりに動いたんだ?」って。

時計との会話で思い出しましたが、それってボクだけじゃないんです。古時計の好きな人はみんなそうなんだと思います。先日修理依頼にこられたお方も言っておられました。ゼンマイを巻くたびに「また頑張ろうね・・・」って声をかけるんだそうです。世間の人から見たら、やはり「変なひと」なんでしょうかね。

というわけで、このハートHさん。本日めでたくショップに並びました。どなたか、連れて行っていただけませんか?しっかり動いてくれますよ!そうそう、言い忘れましたが、この子は音もすごくいいんです!カチコチも、ボンボンも。とくにボンボンは、ツヤのある大きな音で、家じゅうによく響きます。ショップの動画でご覧いただけますよ。


【後日談】
というわけで、ブログでの連載は終わりました。
その後ショップに並べられ、しばらくして福岡県のYさん宅に受け入れていただきました。
元気か~?
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